皆さん、こんにちは。私は、元岡山県内アパレル企業人事部の中野と申します。新卒で岡山県内アパレル企業に入社後、商社部門の営業・企画を経て、人事部に異動になり今に至ります。現在は、採用から入社後の定着・育成・制度設計まで、1,000名を超えるグループ全体の人に関わる仕事をしています。(2022年8月時点)
10年以上新卒採用の最前線で学生と関わる中で、今の日本の就職活動の問題点について問題意識を持つようになり、どうすればみんながより良いキャリアに向けて踏み出せるのだろうか、と考えるようになりました。私が思うに、多くの学生が「自分軸」ではなく「他人軸」で活動しています。「他人軸」で活動せざるを得ない理由の半分以上は学生さんのせいではないのですが、「自分軸」で就職活動をすることの大事さについて私の個人的な考えをお伝えしたいと思います。これから社会に出ていく皆さんの一助になれば幸いです。
簡単に自己紹介をしますと、私は香川県で生まれ育ち、北陸の大学に進学後、就職で岡山に来ました。就職活動中に大事にしていたことは、「信念を持って生きる」でした。何を大それたことを、と思われるかもしれませんが(笑)、大学時代のある人との出会いが私の生き方に大きな影響を与え、信念を持って生きているか?を常に自問自答しながら仕事に向き合っています。(写真1 大学の卒業式。就職活動の時に買った13万円のスーツで↓)
私の人生に影響を与えた方は、大学時代よく通っていたアパレルのお店で販売員をしていました。仮にTさんとしておきましょう。Tさんは会うたびに、「女子大生紹介してよー」が口癖の面白い方でした(笑)。ある時、いつものようにお店に行き、ある服を買おうと思ってレジに持っていくと、「今、君にその服は売らないよ。」と言われ、売ってくれませんでした。「えっ?!」て思いますよね?私もびっくりしました。服を売ることが仕事の販売の方が服を売らないとはどういうことだ?と、訳が分かりませんでした。しかし驚いたのと同時に、「この人カッコいい!」と思ってしまいました(笑)。
服を売るのが仕事の販売の方が服を売らないとはどういうことか?その経験から、図らずも「仕事」とは何か?について考えるようになりました。Tさんは自分の仕事に誇りを持っている人でした。この出来事から、私もTさんのように「信念を持って仕事をしていきたい」と考えるようになりました。
私の場合は、どんな仕事がしたいか?ではなく、自分はどうありたいか?を起点に業界や仕事内容、社風を決めていった就職活動でした。「信念を持って生きる」、「自分から発信する」、「裁量権を持って働く」、というかなり欲張りな大事にしたいことを胸に活動を進め、最終的に内定を頂いた3社の中から自分が大事にしたいことが実現できそうな企業への入社を決意しました。(写真2 新入社員研修終わりの同期での飲み会↓)
今振り返ってみても、生意気な新入社員だったと思います。自分が納得いかないことは進んではやらなかったですし、媚びを売るということをしなかったことでずいぶん損をしたなと思います。
それでも3年目までの社会人生活は順調でした。自分は仕事ができると勘違いしていました。天狗になっていたと思います。社会を舐めてさえいたかもしれません。しかし、4年目に大失敗をしてしまい、営業を外されることとなります。ショックでしたね。人生で初めての挫折だったと思います。自分の力を過信しすぎた結果、お客様に大変な迷惑を掛けてしまいました。この失敗経験は今振り返っても大きな出来事で、仕事に対する向き合い方を根本から変えざるを得ない経験でした。その後、紆余曲折があり2010年に人事部に異動になり今に至ります。(2022年8月時点)
私の略歴をお伝えした上で、皆さんがこれから行う就職活動についての私の考えに話を戻しましょう。今までに3,000人を超える学生と面談・面接をしてきましたが、本当の意味でやりたいことがある人は感覚値で5%以下だと思います。やりたいことなんてないのが普通なんです。ですから、その会社じゃなきゃいけない理由なんて本当はない、というのが私の結論です。働いたことがないので、自分が何がしたいのか、何が向いているのかなんて分かりっこありません。それでもエントリーシートや面接で「志望動機」を聞かれるので、言葉が悪いですが自分のやりたいことを「捏造」してしまうのです。企業研究をして、その企業が欲しいであろう人材を知らず知らずに演じてしまうのです。こうなるとどうなるか?はい、そうです。他人軸の完成ですね。
これは完璧に企業が悪いと私は思っています。個人的には、全ての企業が特に初期のタイミングで志望動機を聞くことを今すぐ止めるべきだと思います。志望動機を聞いたって、、、これ以上書くと他企業から嫌われそうですので、ここで止めておきます(笑)
なぜ他人軸になってしまうのか、答えは簡単です。内定が欲しいからです。確かに内定を得られなければ働けないので、その振る舞いにメリットはありそうです。しかし、皆さんのキャリアは当たり前ですが内定がゴールではありません。むしろスタートです。その企業に合わせた自分で入社後に活躍できるでしょうか?就職活動中はその企業にとってのありたい自分を演じることが出来ても、入社したら365日24時間です。自分を偽って入社してもどっかでボロが出るか、自分がしんどくなってしまう可能性がありそうですよね?
他人軸の問題点のもう一つは、何かあった時に頑張れない、ことだと私は考えています。世の中にはなぜか就職人気企業ランキングというものがあります。当事者である学生さんがどこまで参考にしているかどうかは別にして、このランキングに入ることに力を注いでいる企業も少なくありません。働いたことがない学生が選ぶ人気企業ランキングなのに、です。例えるなら、ラーメンを食べたことのない人にどこのラーメンを食べたいか、と聞いているようなものです。名前を聞いたことがある企業、という以上の価値はありません。こういった人気企業ランキングは完全に他人軸ですね。大企業・有名企業という世間的な評価も、親の意見も他人軸です。全て自分の意思ではありません。こういった情報100%で、自分の意思が全くなく進路を決める人はさすがにいないと思いますが、引っ張られすぎるとよくありません。社会は、皆さんが思っているよりも厳しい世界です。どんな会社に入っても、乗り越えないといけない壁は必ずどこかのタイミングで皆さんの前に現れます。その時に、他の誰かが決めた価値観で選んだ会社で頑張れるでしょうか?
他人軸の問題点について書いてきました。ここまでお読み頂いて、じゃあ現実問題どうすれば良いんだ、と思ってくれていたら嬉しいです。このコラムの最後に、皆さんが自分軸で社会に出ていくための私なりのアドバイスをお伝え出来たらと思います。
それは、「嫌いなことをしない」「覚悟を持つ」「社会は楽しい」の3つです。
まず、嫌いなことをしないで下さい。やりたいこと探しからとっとと抜けて、自分が嫌いなことは何か、を知る経験を積むほうが豊かなキャリアを歩む上では意味があると思います。「好きとか嫌いで仕事を選んで良いんですか?」とよく聞かれますが、私は良いと思います。むしろ経験の少ない皆さんが自分の好きとか嫌い以外で企業や仕事を選択することはほぼ不可能です。好きなものは好きで、嫌いなものは嫌いです。それは皆さんの基本的な特徴や資質に根差していますので、簡単には変わらない部分だと思います。
2つ目は、覚悟を持って自分で決断をしましょう、です。こんなことを言うと怒られそうですが、皆さんの長いキャリアを考えたときに、新卒でどの企業に入るかは豊かなキャリアを歩むためにはほとんど関係がないのでは、と思っています。どんな企業に入社できたかよりも、その企業で頑張れるかどうかの方がよっぽど大事だと思います。社会は皆さんが思っているよりも厳しいので、自分が頑張らないと成果が出ないと思います。目の前の仕事に向き合い、もがき続けることが出来るかどうかが何よりも大事だと思います。で、その為には覚悟が必要なんです。なんとなくではダメなんです。友人や家族からなんと言われようと、「私はこの企業に行くんだ」という覚悟が作れるかどうか、これが就職活動の全てだと私は思います。それが出来れば、あとは自分で選んだ決断をマルにする努力を自分がしていくだけです。
最後に、皆さんが勘違いしていることがあります。それは、仕事は楽しくないものである、ということです。私自身、社会人になり上手くいかないことばかりでした、大きな失敗や挫折も経験してきました、しかし不思議と一度も学生時代に戻りたいと思ったことはありません。社会人のほうが何倍も楽しかったからです。やりがいを持って働いている人が少ないと言われる日本です。もしかしたら、皆さんの周りに仕事を楽しんでいる人が少なかったのかもしれません。でも世の中には仕事を前向きに捉え、やりがいを持って取り組んでいる人もたくさんいます。もちろん仕事は人生の一部で、仕事だけが人生ではありません。しかし、多く人にとって生活の多くの部分を占めるのも仕事です。その仕事の時間を前向きに過ごすことが出来たら、と思うとワクワクしませんか?
長々と私見を述べさせて頂きましたが、結局何が伝えたかったかといいますと、「誰のものでもない自分の人生です。周りがどう言おうが、自分が楽しく生きられるために、自分にとって何が大事かを自分で考え、好きなように生きて下さい!」ということです。
社会は皆さんが思っている以上に楽しいです。結局は誰のものでもない自分の人生です。自分が楽しく過ごせるためには何を大事にすべきか?ぜひ、ここを考え続けて下さい。
皆さんが前向きに社会に出ていかれること願っています!
私は現在大学1回生です。私はまだ将来やりたい事やビジョンが特に決まっておらず、大学へ行って就職出来たら良いかなと思って過ごしていました。今回のお話を読んで、私は今までなんとなくで過ごしてきたのでとても刺激を受けました。自分がどんな人間で本当は何がしたいのか・楽しいと思える事は何なのかを大学生活を送っていく中で見つけていきたいと思いました。ありがとうございます。
「他人軸ではなく自分軸で動くこと」「嫌いなことはしない」。就活を始めたばかりで右も左も分からない中、この二つのことを早期に知ることはできたことは、これからの就活の軸を決める上でとても大事なことだと思いました。新卒採用の最前線でこれまで数多くの学生と関わられてきた中野さんだからこその気づきであり、このコラムは就活について考える良いきっかけになりました。貴重なお話ありがとうございました。
好きなことよりも嫌いなことを知る方がより豊かなキャリアを歩む上で必要だと学ぶことができました。
私は今まで自分の好きなことだけを分析していたため、これをきっかけに嫌いなことについても考えようと思いました!
私は自身の優柔不断さに悩んでいたのですが、それは他人軸を中心にしてしまっていたからだということに気づくことができました。今までも何かを決める時には必ず周りの意見を気にしていましたが、就活はこれからの人生を大きく左右する重要なことなので、自分が楽しいと思えるかどうかを大切に自分軸で決断したいと思います。就活までまだ時間があるので、これから自分のことをきちんと理解していく時間にしようと思います。素敵なコラムをありがとうございました。
「周りがどう言おうが、自分が楽しく生きられるために」という言葉が一番刺さりました。自分は周りにどう思われるかをすごく気にしてしまうタイプで、自分軸があるはずなのに気づいたら他人軸になっています。そういうのが必要な時もありますが、もっと自己中になってもいいと気づくことが出来ました。自分が楽しく過ごせるために、自分軸を大切にしていこうと思います。
I read this in awe honestly, it was extremely insightful. Of course there’s that feeling of achievement from joining the company everyone wants to work at but if you don’t find it interesting or the values don’t line up with yours then there’s no point! I felt like your column was really on the mark and I felt more motivated than ever to not pay attention to other people at all and just focus on my own plans.