現在不動産コンサルとシニア関連の一般社団法人の代表を務めております吹野(ふきの)と申します。

本日は、皆様の就職活動に参考になればと思いまして、一言お話しさせて頂きます。
但し、皆様と私では親子以上の歳の差があることから、テクニカルな効果的な手法、
こうすれば上手く内定が取れるとか上手な面接の受け答え方ではなく、就職に対する考え方、更には社会人としての生き方・考え方をご伝授できれば幸いでございます。
私は、昭和62年4月に金融業界(信託銀行)に飛び込みましたが、就活は経験だと思いまして、総合商社(ゼミ卒論のテーマ)、金融、広告代理店、メーカーなど幅広く回りました。それにはいくつか理由があり、私の時代は、就職協定なるものがあり、経団連に所属している上場会社は、8月20日以降でないと学生とは表向きは接触できなかったからでした。外資やマスコミはこの日に関係なく、年度変わりの4月から始まっており、採用面接に慣れるために様々な業界を受けたのを覚えています。
そこで、念頭においたことは、どこに(有名企業)入るのでなく、そこで何をするか、何ができるかということでした。業界は選ばず魅力ある企業を選択して、ここなら何をしたいかを考えました。面白いのは、この後セカンドキャリアを積んだ証券会社は、就活時代は1社も受けていません。(笑)

金融業界に飛び込む訳ですが、2つの目標がありました。一つは海外に行きたい(今は全く思いませんが)。もう一つは支店長になりたいでした。二つめは、支店経営を通して、地域の方や部下達といい仕事したいという志がありました。一つめの海外に行きたいは、入社8年目にトレーニー生として、ロンドンに勤務できて、ある種目標を達成しました(当然トレーニー選ばれるための努力はしています)。ところが、住専を契機とした金融再編が起こり、私の所属していた信託銀行7行は再編され、当時は3社?くらい(今もそのくらい?)まで減少。行員数はあまり減らず、支店数は激減し、これでは支店長になることが難しいと考えるようになりました。元々偉くなりたい志向はあまりなかったことから、幅広い業務を取り扱う信託銀行で積み上げてキャリアと向き合うこととしました。入社して2年目から営業店の不動産課に配属され、その後法人営業、海外研修、国際部門、不動産部門(都市部・地方)とキャリアを積めることになりました。その中で、特に時間的にも最も勤務経験が長かった不動産部門での売買仲介と有効活用に関しては相当数取扱ってきたため、皆さん(お客様、上司、同期、部下)から重宝されたのは覚えています。何をしたいかに繋がりますが、お客様からの感謝の言葉を今も忘れません。

その礎を作ったのは、入社2年目に出会った上司のお陰でした。仕事には大変厳しく、一匹狼的でしたが部下(弟子)には優しく、プライベートは更に優しかったので、職人のような課長についていきました。約2年間、不動産のノウハウを徹底的に叩き込まれ、その後上司が変わりましたが、いろんなレベルの方々とお仕事したことで、自分が更に鍛えられました。最初の師匠には今でも大変感謝しています。そこで業務の深さを覚えて、更に、ワンオペ対応することで更にキャリアアップとなりました。簡単に申し上げますと、不動産売買仲介を行い、同時に買主の融資申請も対応するという今では考えられないことです。現在は売買仲介だけで、営業と書類作成など、この業務のみで数名携わります。兎に角一人でやることが、全てが分かるという仕事の深さを身に付けさせてくれました。

ここで転職を考えますが、理由は簡単、やりたい仕事ができなくなったため(不動産部門でお客様のために)、自分のキャリア形成のためです。偉くなることは諦めていましたので、就活時代の志(こころざし)、何がしたいかです(ここが重要)。このころは、お客様の役に立ちたいと強く思っておりました。なぜなら長年経験した不動産業界でお客様(不動産業者ではない)がベストな状態でないことへの不満と疑念でした。お客様のために何とかしてあげたい。
そのタイミングで、大手証券会社の富裕層部門での不動産ソリューション担当となりました。その部門で約20年勤め(部門異動なし)、昨年(2024年)9月末で同じ部門で定年退職となりました。仕事内容は、若干は変化してはいましたが、概ね不動産ソリューションからの提携不動産会社とのビジネスマッチングがメインでした(所謂、ウェルスマネジメント業務)。この20年では、更ななる不動産周辺業務の知識の横展開でした。信託時代では深く一人で業務を遂行、証券時代は不動産関連業務(知識)すべてを網羅するくらいで、未公開の不動産会社の自社株と事業承継、賃貸業から太陽光・民泊参入、賃貸管理業の法制化対応等、知らないことがないと自負しています。大手金融機関の良かったことは、教育に時間とお金を惜しまないことでしたので、特に証券時代は、沢山勉強する機会を頂けました(自身で積極的に機会は作りました。)偉くなることは捨ててきましたが、途中管理職への道を上司(部長)が変わる毎に何度か薦められましたが、専門職(大手証券会社初の不動産スペシャリストに就任)としての道を選択したことで、更なるキャリア形成と幅広い人脈作りが可能となり、お客様のためのビジネス志向が体現できており、現在の仕事にも繋がっております。更に申し上げますと、その思いからシニアの社団を設立し、これからも『お客様のために』の精神で日々業務に向き合いと考えております。
学生の皆さん、偉くなりたいという考え方を否定するものではありません。ただ、自身のしたいこととキャリアが一致することは大変重要と思います。そこで何をしたいか?そこで何ができる?をこの機会に考えてみてください。当然社会人になれば変わります。でも、自分を中心に自身のキャリアを最優先にすることは大切です。
私のお話しが少しでも皆さんのご参考になれば嬉しい限りです。
誠にありがとうございました。