就職活動中のみなさん、こんにちは。
私は現在、大阪・神戸で公認会計士、税理士として働いております副田正之と申します。

就職活動に関して言えば、私の場合は公認会計士試験に合格して、そのまま監査法人に入所したため、みなさんが経験するような就職活動の経験はほとんどありません。
ただ、同業の方の多くが、学生時代にこの職業を志すように感じますが、私自身、学生時代から今の職業を志そうと考えていた訳ではなく、むしろ私の中では“逆”のイメージのクリエイティブなデザイン系の職業に就きたいと思っていました。
高校時代は普通科の高校に通い、理系の受験勉強もしていたのですが、昔から大阪に出てみたかった事、少し勉学を疎かにしてしまい、学力で合格圏の大学が少なかった事(笑)で、画力で大阪芸大建築学科を受験する事にしました。
昔から絵を描くのは得意でした。ただ、周りに芸大受験者はいませんでしたので、芸大受験の予備知識が全くない状態での前期の推薦試験を受験した時には驚愕しました。
推薦試験の科目は「デッサン&論文」と「面接」でしたが、「デッサン&論文」の試験会場で他の受験者を見渡すと、皆揃って鉛筆をHB~6Bまで一式揃えて、それを濃淡で使いこなしているではありませんか。しかも鉛筆のデザイン柄もきれいに揃っていました。これに対し私は当然、HB一択。デザインも昔使っていた車の絵が描かれているような鉛筆や両端を削った鉛筆を使用していましたので、全く歯がたたず、前期試験は不合格となりました。
何事もそうですが、やはり、予備知識を持ち、きちんと準備して望まないと駄目だという事を身をもって経験しました。次の後期の一般試験では、私も鉛筆のデザイン・濃淡を一式揃えて、課題と面接の対策もきちんとして臨んだ結果、なんとか合格する事ができました。
当時の私は将来の職業については、漠然とカッコ良さそうという理由で芸術家的な建築士になりたいと思っていました(ル・コルビュジエ氏や安藤忠雄氏のようなイメージです)。しかしながら、実際、芸大の授業や他の学科の友人の作品、感性に触れるにつれて、感覚や才能の違いをまざまざと見せつけられる事も多く、その中でも成功するのはほんの一握りだという現実も知り、次第に自分が思い描く将来像に対して、才能と努力が伴っていないのではと考える様になりました。とはいえ、この大阪芸大を選んだ事は、本当に感性の鋭い友人や一生涯の友人にも出会えましたし、自分の人生においては本当に充実した有意義ある時間だったと感じています。

大学時代はあっという間に過ぎて行き、建築士への夢も薄れて行き、いざ就職活動をするにあたって、自分は何をしたいのか悩みました。それまで、才能や感性で勝負する芸術家の仕事に憧れていましたが、実際、自分にそこまでの才能と根性があるのか、自分は何ができるのか。
悩んだ結果、自分に芸術家としての才能が無いのであれば、“逆”に堅く地に足着いた職業を探そうと決心しました。そこから紆余曲折、自分がなりたい職業として辿り着いたのが公認会計士という職業でした。
この時点で大学生活も卒業間際となっていましたが、それまでとは全く別の方向に進むことを決意しました。まずは、両親に思いを説明して、幸いにも大学卒業後、会計士試験の受験予備校に通わせてもらう事に許しをもらいました。
会計士受験においては、それまでとは全く分野違いに加え、大学4年間デザイン&製図という実技ばかり学んでいて座学はほとんどしていなかった事、そもそもの学力不足も相俟ってかなり苦労しました。
ただ、この苦労は自分自身で選んだ道であり、周りに同じ志を持つ受験仲間もいましたので、全く苦になりませんでした。今現在働いている税理士法人の共同代表も苦楽を共にしたその中の一人です。
結果、何度も受験失敗を重ね、6年かけてなんとか合格する事ができましたが、この要因としては、大学卒業後、更に6年間も、会計士受験に集中させてもらえる環境が自分に与えられた事、これが一番の要因だと感じています。
受験時代にも、私よりも成績の良い方が諸々の事情で受験を諦めざるを得なくなった光景をたくさん目の当たりにしてきました。そういった意味では、自分は周りに恵まれ、且つ運が良かったのだと感謝の念しかありません。
前述しましたが、公認会計士試験合格後はその流れで監査法人への就職、自身の会計事務所独立、現在の税理法人への参画と、これといった就職活動は行わず現在に至り、みなさんへの就職活動についてのアドバイスはとてもできないのですが、私自身の経験としてはこのようなものであり、常に周りの方々に支えられながら、自分自身とその置かれている環境を把握して進むべき方向を模索するという事に関しては、これからみなさんが行おうとしている就職活動と大きな違いはないのかなと思っています。
私の経験が少しでもご参考になれば幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。
みなさんの素晴らしい未来が開かれることをお祈りしております

岡山県総社市生まれ
略歴
1996年 岡山県立総社高等学校卒業
2000年 大阪芸術大学芸術学部建築学科卒業
2006年 あずさ監査法人入所
2010年 公認会計士登録
2013年 副田公認会計士事務所設立
2017年 税理士法人ファーストオピニオン 代表社員就任
このコラムの中に何度も周りの人への感謝の気持ちが書かれていたのが印象的でした。
芸術の道を志したものの、一転して公認会計士を目指し6年間、会計士受験され、合格できたら自分の努力ゆえだと私なら思ってしまいそうです。しかし、その努力できる環境があるというのも周りの人に恵まれているからだとおっしゃっていて、私もそういう考え方ができる人になりたいと思いました。
現在私は大学3年生ですが、もう少ししたら就活が始まります。周りの人に支えてもらって就活ができているという感覚を忘れずに就活に励んでいきたいと思います!
「予備知識を持ち、きちんと準備して望まないと駄目だという事を身をもって経験」
とても大切なことだと思います。しかし、それを達成するのはとても大変ですよね。しかし、達成できれば自分の自信となることも事実。肝に銘じます。
芸術家から公認会計士へ。そして、それは、周りの方々に支えられた環境あってこそ。
周りへの感謝を忘れることなく、就職活動に取り組みたいと思います!
ありがとうございました!
座学を全くしてなかった四年間から六年かけて夢をしっかりと掴み取った福田さんのコラムはとても励みになりました。私も夢を追いかけている最中ですが、諦めずに頑張ろうと思うことができました。素敵なコラムをありがとうございました。
公認会計士になるための6年は、福田さんにとっても光がどこにあるのか分からない状況だったと思います。周囲の環境が恵まれていたことももちろんあると思いますが、努力を続けてこられた福田さんに感銘を受けました。またこのコラムを読み、勇気をいただきました。就活を始めようとしているのですが、就職に限らず、たとえ目の前の壁が高くとも登り切れるという自信を持ち日頃から努力を続けていきたいと思いました。貴重なお話ありがとうございました。